真夏を迎える準備か、樹木を枯らさんが為か、毎度ながら、又、梅雨がやってくる。
この時期になると、湿気のせいか、なぜか足腰が痛く、傘をさして歩く事がツライ(T_T)
ところで、傘と言えば、誰もが忘れ物の中では1番でなかろうか?
駅に着くまでは確かにさしていたし、車内でも傘の置き忘れにご注意下さいと
アナウンスされているにも関わらず、かなりの確率で傘を電車に忘れたまま降りてしまう爺。
慌てて取りに戻るが、時は既に遅く、爺の姿を嘲笑う様に
電車は走り去って行く・・・その振り返る自分の姿が照れ臭い事!
だが、「捨てる神あれば拾う神あり」ではないが、
大阪の天満橋駅構内に、傘を無償で下さる靴磨き屋さんがある。
この店の主人、遠方からの通勤時に、置き忘れられたり、捨てられたりしている傘を
丁寧に修理し、突然の雨の折、提供して下さるので大助かりである。
また、主人は穏やかな上、本当に優しい方で、仕事を終え、帰宅の途中、
買い物が困難な奥様のかわりに食事の買い出し、そして1杯の晩酌のツマミを
買って帰り、今日1日の出来事を奥様に話される事が日課だそう。
ある日、息子さんの話を聞く事ができた。息子さんは5ヶ国語を習得し、
要人の通訳をされており、海外を飛び回っているとの事。
息子さんの話をされている主人は、とても誇らしい顔をされていたのだが、
その後すぐ寂しそうに、父、兄、そして自分と60年余り靴修理を3代続けて来たが、
自分の技術を継いでくれる後継者がいないと話していました。
ほとんどの方が素通りされる中、来て下さるお客様をひたすら待ち、
靴の修理をするという地味な仕事で、孤独な戦いでもある。
主人曰く、痛んだ靴も修理をし、磨いてやれば
「おじさん、有難う。履いてくれるご主人の為にまた頑張って来る」と話し掛けて来るそうだ!
もちろん、靴が物を言う訳がなく、ここにも主人の優しさが見える。
仮に後継者が来てくれたら、入念に技術を教え、
免許皆伝(少し話がオーバーか)後に引退したいとの事。
その時の主人の顔は、ライトアップされた大阪城にも劣らぬ、
清々しく戦いを終えようとする勇者の顔に戻った。・・・反面、この主人が引退されたら、
雨の日に傘が貰えなくなるのではないかと心配する、我が身のいやらしい事。(笑)
だが、主人の真似ではないが、田舎の古民家も、靴底の張替同様、
少しの改装で十分生活出来、毎日騒々しく都会で働かれている皆様の疲れを癒し、
生気を取り戻す憩いの場で有り、明日からの生きる源になるでしょう。
それは新緑に囲まれ、小鳥の鳴き声が聞こえ、長閑な時間が待っているから。
異端爺より